夢遊病。

この間、東京を遠く離れての出張に出た先で体調を崩した。IQOSの独特の煙(水タバコに似て苦手である)だったのか、クラブの空調が途中から強くなったせいだったのか、はたまた食べものにあたったのかはわからない。

その日はいくつかのアポをこなしたあとは現地調査が主だったので、アポをほとんど地蔵の状態で過ごしたあとは、クルマの後部座席で横になって休んでいた。シートを後ろに倒して寝転ぶと、南国の青い空が目に飛び込んでくる。自らの情けなさもあいまって、やるせない気持ちになる。

昼食を食べる気にもならなかったので、1人後部座席で横たわっていた。エンジンのキーを切って、じわじわ暑くなってくる車内でじっと潜んでいる。気の抜けたような鳥の声と、のんびりと歩く地元の人の足音が聞こえてくる。

たまらなくなって、炎天下の中を外に出てみる。間延びしたような空間を、夢遊病者のようにふらつく。さながら、バックパックをかついでうろついていた頃の感覚に戻される。