十三。

大阪への出張で、十三に立ち寄る機会があった。梅田から阪急電車に乗り、淀川を渡る。待ち合わせまでは少し時間があったので、駅のベンチに腰掛けて行き交う電車をぼんやりと眺める。

阪急線の3つの線が合流する駅なので、ひっきりなしに電車が来る。駅自体がカーブの上にあるので、電車はレールの音をきしませながら止まる。ホームと電車の間に段差があって、ドアが開くと一斉に電車から足が飛び出してくるさまを、ベンチから横目で見ている。

時間になったので、改札を抜ける。阪急電車の沿線の街で、十三だけは下町の雰囲気が濃い。車でやってきた相手と合流して、昔ながらの喫茶店に入る。この流れであればミックスジュースを頼むしかない。

生温くて粒々がたくさん浮かんだジュースを啜りながら、ノートや資料を広げて自由に議論をする。同じ話題でもいろんな環境のなかで議論することで、新しいアイデアが湧いてくることもある。あっという間に暗くなった窓の外を時折見つめながら、2年前の年の瀬のことを思い出していた。