あの頃。

最近知り合った数人の方から、偶然にも2000年代前半の頃の話を聞く機会があった。

たまたまなのかもしれないが、どれも壮絶な話であった。わずか10数年前のことなのだが、はるか昔のおとぎ話のように聞こえる。人権や各種ハラスメントに関する意識も、今からは考えられないくらいに低かった時代のことだ。僕自身も、当時働きはじめる身分として、いろんな覚悟や絶望感を覚えたこともあった。社会とはそういうものなのかと諦めていた部分もあった。彼らの話を聞いて、本当に久しぶりにその頃の感覚を思い出していた。人は案外昔のことはすぐに忘れてしまって、いまあることが所与のものなのだと思い込んでしまうものなのだろうなあ、と改めて噛みしめた。

今から思えば、あの時代はまさに皆が「なんとか生き延びた」時代だったのだろう(生き延びられなかった人も大勢いたこともよくわかっている)。使いたくない言葉だが、やむを得ない時代だったのかもしれない。

あの時代の続きに、いまがあること。あの時代をいやが応にも引きずっている人たちがたくさんいることは、忘れちゃならないのだと思う。