踊る、操る。
都内での飲み会では珍しく、昨夜は遅い時間になった。眠いなぁと思いながら帰路につく。
がらんとした電車の座席に揺られながら、懸案となっている仕事の案件を思い出す。人の心は操ることができるものだろうか、と思案する。操る、というほど大げさなものでなくとも、相手の心が浮ついているその隙を突いて、流れを掴むことはできるだろうか、と考えている。
頭のなかがこうしたい、という意識でいっぱいのうちには見えないことがある。無意識の状態になってはじめて、浮かび上がるように見えてくるものがある。その境地にたどり着きたいがために、できるだけ日常のなかで余白の時間を作るように努める。
眠気と抗っている時間もまた、無意識の境地に似ている。ぼんやりとしているうちに、どこからかメッセージが降りてくる。その一瞬、霧が晴れたかのように頭のなかが鮮明になる。
雨上がりの夜空の下、自転車を拾って帰る。漆黒のなかをライトが貫き、モーターの音と自分の口から無意識に漏れ出た声が響く。自分もまた神に操られ、踊らされている。