いと。

このあいだ、大阪市内で歩道を歩いてきたときに、ものすごい形相の子どもを引き連れて歩く親を姿を見かけた。両の目が大きく垂れ下がり、鼻が異様に大きく、口が裂けんばかりに広がっている。思わず顔をそむけてしまった。

帰りの新幹線のなかで落ち着いたときに、その親子のことを思い出した。きっと、日々無数の人びとから同じようなリアクションを受けていることだろう。普通学級なのかはわからないが、学校生活を送ることにおいても並々ならぬ障がいがあることは間違いないだろう。

それでもあの親がああやって子どもを街に連れ出していることには、親の明確な意図があるのだと思う。そして、あの子の姿を目の当たりにする僕らにとっても、あの子に出会うことに意味があるのだと思う。

あの親の意図(もっと言うと愛情)はおそらくあの子自身にも伝わっていくのだろう。顔は歪んでいようとも、心は愛情で満たされて、きっとあの子自身の力で、自らがこの世界にあの風貌で生まれ落ちた意図を掴んで、育っていくのだろう。

すれ違った時には言えなかったけど、あの子にエールを送りたい。