愛燦燦。

大阪出張のしめは、いきつけのスナックで唄を歌う。時おり新幹線の時間を気にしながら、採点機能付きのカラオケで歌うのだ。

このあいだはふと思いついて、美空ひばりの「愛燦燦」を歌った。普段から80〜90年代の曲ばかり歌うオッさん臭い(というかもう立派なオッさん)僕だが、これまた異質なチョイスである。

歌いながら、やっぱり歌詞がいいよなあと思うと同時に、僕は7年近く前の真冬の週末のことを心に思い浮かべていた。

妻と結婚する前にした1番大きなケンカは、確か2010年の年初めの頃だったか。会う予定もキャンセルして、3連休を、武蔵小山の6畳のワンルームで過ごした。ひたすら美空ひばりを、特に「愛燦燦」をパソコンで流して、お腹が空けばふらふらと商店街に繰り出して定食を胃袋に詰め込んだっけか。

そのあとどうやって仲直りしたかも覚えていないけれど、冷え込む室内で繰り返し美空ひばりを聴いて、どん底にまで落ち込んでいたことだけは今でもよく覚えている。

人生って不思議なもので、嬉しいものである。たとえどんな時であっても。