選考レース。

オリンピックイヤーと言えば出場選考である。これまでにも物議を醸してきたマラソンの選考が、今回もまた話題にのぼっている。福士加代子選手のことである。

経緯は他のところでまとめられているのであえて繰り返さないけれども、結局のところ、福士選手は最終選考レースとなる名古屋ウィメンズへの出場を回避した。諸々のリスクを考慮してのぎりぎりの選択だったのだろう。陸連としては追い込まれた感がある。名古屋の結果がどうなろうとも、福士選手には内定を出さざるをえない状況に見える。

個人的には福士選手に名古屋で走って欲しかった。本人がどう考えているかはわからないが、真面目に完走や記録を狙わなくとも、他の選手に与えるダメージは少なくないし、陸連へより強烈なメッセージ(皮肉?)も打ち出せたと思う。ハイペースで飛び出して途中でレースを止めたり、集団のペースをコントロールしたり、いろいろとかく乱をできただろうし、それで批判されるものでもないはずだ。

不条理なシステムに立ち向かうには、ひたむきに努力するだけでなく、知恵を絞ることも必要だ。その壁に果敢にチャレンジした福士選手はきっとオリンピック本番でもメダルに近づけるんではないかと、僕は思っている。