愛の日。

お隣さんの玄関のドアの前に、ハート形にロウソクが並べられ、そこにスノーマンと手紙が置かれていた。お隣の娘さんが、玄関のそれを見つけて、ロウソクを吹き消して玄関のドアを開けた。その先になにが待っていただろう。

宗教がどうだとか、恋人たちの夜だとか、サンタさんはいるのいないのだとか、そんなことを通り越して、クリスマスは愛に溢れている。親から子への愛情がたっぷりと届けられる。僕よりも少し上の世代までは、みなそのようにして親からの(もしくは親代わりの大人からの)愛を授かったんじゃないだろうか。

たとえその後どんなに辛いことや苦しいことがあっても、クリスマスに愛を授かった記憶がどこかで人を支えてくれるように思う。そんな記憶を思い出すだけで辛くなるほどに、不幸の渦のなかで溺れていても、どこかでその記憶が心に温かさを残してくれるのだと思う。

普段は親子で喧嘩をして、上階で地団駄を踏んで泣いていることの多いお隣の娘さんは、どんなクリスマスを過ごしたことだろう。2014年のクリスマスは、彼女の心にどう刻まれただろう。この地球上で、どれほどの愛が授けられただろう。