ムスコの胸に耳を当てると、心臓の鼓動がいくぶん早いペースで波打っているのが聴こえる。リズムは3カ月前、子宮越しに聴こえてきたペースと変わらないように思える。呼吸のペースが速くなり、表情が泣き出す一歩前になれば、オムツ替えか、お腹が空いたかのサインだ。その兆候はいつも前ぶれを伴ってやってくる。速かった呼吸のペースが落ち着いてくれば、たとえ眼が開いていようとも、眠りに入る合図になる。指で優しく閉じた瞼は、その後2度3度は開かれるものの、やがてしっかりと閉じられて、規則正しい寝息が聞こえてくる。たまに寝息が聞こえなくなると、心配になって耳をムスコの鼻にくっつけて、呼吸の証しを聞き取ろうとする。
身長は10センチ以上伸び、体重は産まれた時のほぼ倍になった。人生で2度とこないレベルの大成長期だ。1日1日、見た目だけでなく様々な部分が成長していることを感じる。こんなペースで大きくなってしまったら、すぐに彼は手の届かないところに行ってしまうんじゃないかと思ってしまう。もしそうだとしても、いまこうして過ごしている時間が、彼にとっても僕にとっても、支えになってくれるはずだと、それだけは確信を持てる。
