交信。

ムスコは2ヶ月を過ぎ、表情のバリエーションが格段に増えた。目もしっかりと見えているのだろう、鏡に映る自分の顔を見て笑うようになったし、ベッドの上にぶらさげたメリーの動きを目で追うようになった。

声の種類も増えた。日本語ではたとえにくいが、声を出す。状況によって声色は違っていて、機嫌の良いとき、寂しくて相手をしてほしがっているとき、甘えたいとき、お腹が空いているとき、お腹の調子が悪いかオムツが濡れているとき、などなど、声色で聞き分けられるようになった。言葉などなくても、気持ちは伝わるのだ。

いま一番楽しいコミュニケーションは、僕の膝のうえで向き合って座ったときのものだ。まだ完全に首が座っていないが、1カ月前に比べると顔を真正面に向けて前を見るようになった。集中してムスコの眼を見つめると、はじめ焦点の合わなかった彼の眼が、だんだんとこちらを見るようになってくる。そして彼は気分が乗ってくるのか、普段よりも高い声をあげる。僕ももっと高い声で同じように呼び返す。

なんのコミュニケーションか、と言われると言葉では説明できないのだけど、脳のなかに確かに、コミュニケーションの痕跡が残る。なんとも幸せな時間だ。