匂い。

秋の空は驚くほど早く暮れていく。

ミルクか母乳を飲んだあとは、げっぷを出さなければならない。両脇から手を入れて息子を抱き上げて、左右どちらかの肩にもたれ掛けさせる。後ろからは、背中を丸めて身体を預けた胴体に、頼りなげに、本当に頼りなげに伸びる赤らんだ2本の脚が見える。前からは、手を前にだらんと投げだし、顎を肩に乗っけて、その顎の上には眠そうな表情が見える。背中を上に向けてさすったり、ポンポンと叩くと、しばらくするうちに控えめなげっぷが二度三度と出てくる。

目を開き、握りこぶしを顔のあたりに持ってきて神妙な顔をしていれば、うんちのサインだ。たいていは音が出て発射される。オムツを外すとモノが現れる。息子は脚をぐっと上げさせられて、もうされるがままという状況なのだが、涼しい顔をしている。

冷え込む季節になってきたので、沐浴だけでなく足湯をしている。最初は洗面器に張られたお湯に脚を入れるのを躊躇するが、いったん入れてしまうと気の抜けた表情になる。きっと将来風呂好きになるのではないだろうか。

ひとつひとつの表情、たたずまいは、一生忘れることはないと思う。