ガソリン。

学生の頃、車に乗っていた。買ったのはタダ同然とはいえ、保険や車検などそれなりに維持費はかかる。それでも、車を持たないことによって行動範囲に制約が出るのが我慢できなくて、無理して車に乗っていた。車を持っていたからのそ家庭教師のアルバイトもできたし、天候の悪い時の移動手段としては本当に助かった。

当時住んでいたつくばから、アルバイトで龍ヶ崎方面に向かうことが多く、その時には必ず途中の激安ガソリンスタンドで給油していた。国道6号の牛久あたり、横浜家系と大書した、しかもなぜか「よこはまいえけい」と振りかなまで書かれたラーメン屋の向かいにあるノンブランドのガソリンスタンド。

道沿いに出された看板には確か「次世代燃料」と書かれていた。当時は大手のスタンドでもレギュラーガソリンがリッター90〜100円で売られていたが、その店は80円を切っていた。ハイオクも置いておらず、その次世代燃料なるもの単品のスタンドだった。

安いからといってことさら混雑しているスタンドでもなかった。混ぜもののガソリンだとか、あそこのスタンドで給油するとエンジンオイルがすぐにダメになるだとか、いろんな噂も聞いた。1年くらいその店で給油していただろうか、ある時に突然店は閉められた。

今でもたまにあの店の情景を思い出す。そしてあのガソリンはなんだったのだろうか、ということも。