「おもてなし」のその前に。

先週平日の夜に銀座のドン・キホーテへ買い物に行ったところ、店内の客の8割以上が外国人で占められていてびっくりした。ことに東南アジアから旅行で訪れたであろう人の姿が目立つ。彼らのふるまいに、ここは一瞬バンコクではないかと錯覚してしまったほどだ。

日本を訪れる外国人観光客が増えている。昨年の来日観光客数が1千万人を越えたことを皮切りに、2020年に向けて年間2千万人の観光客を受け入れることが目標にされているという。東京に限らず地方でも海外からの旅行客を目にする機会は増えている。ただ、受け入れる体制がそこまで整っているのかな、という不安は拭えない。

まずホテルの数が足りなくなっている。ただでさえ景況回復によりホテルの稼働率が上がり、ハイシーズンの予約が取りにくくなっているうえに、稼働率が上がっていることによる弊害も出てきている。先日外食産業の人不足について書いたが、ホテル業界も同様に人手が足りなくなっており、それに伴って少ない人数でオペレーションをまわさざるを得ない現場が増えてきており、結果としてサービスの質が低下してきているように感じる(現場の人たちは頑張っているわけで、あえて個々の事例をあげつらうようなことはしないが、最近そのようなことを肌で感じることが多い)。現場に余裕があるからこそ「おもてなし」ができるわけであり、需要を受け入れ、なおかつ現場に過度の負担を強いることのないような体制づくりは必要なのだと思う。そのためには、多少の値上げは許容すべきなのだろう。

同じことは電車やバスにも言える。鎌倉や富士山、京都といった人気の観光客での交通インフラはもはや、受け入れのキャパシティを越えている。抜本的に観光客の動線を見直すか、そうでなければ観光客受け入れに制限を設けなければ、もはや観光地としての質が保てないように思える。観光地だけでなく、新幹線や在来線(特に山手線)などの混雑も激しくなってきているように感じる。正確な鉄道システムが観光客の隠れた人気となっているだけに、混雑解消に向けた取り組みも行って欲しい。そこで生まれた余裕が、災害や突発的な事態での対応のバッファにもなってくるのだと思う。そのためのコストアップは運賃料金に転嫁しても致し方ない。

フランスや中国のように観光大国への道を歩むのであれば、まずはこういった受け入れ体制を充実させていくことからだと思う。ただ、そこでもネックになるのは人不足である。もうこれはこれから先数十年何につけてもつきまとう問題なのだろう。