冬の訪れ。

急激に冷え込むなか、一年と三ヶ月ぶりに気仙沼に行く。仙台を過ぎると、田んぼや山肌がうっすらと白くなる。東北一体では、昨日から今朝にかけて初雪が降ったそうだ。三月のあの日もこのくらい寒い日だったのかと想像する。十分に暖房の効いた二両のディーゼルカーから寒々とした風景と、ところどころに掲げられた「復興支援ありがとう」の看板を見ながら、気仙沼駅に着く。気仙沼の駅は去年となにも変わらない。

タクシーで海沿いの高台にあるホテルに向かう。ほどなく市街地の中心に出る。時折更地や崩壊したままの建物もあるが、原形をとどめている建物が多い。しかしその玄関や窓は封鎖され、中には人が見当たらない。津波の被害もあったのだが、それに加えて地盤沈下が進みつつあり、満潮時には浸水してしまうのだという。地面から海水であろう水が噴き出している光景を何度か見た。よってライフラインの復旧もなされず、中心街の機能は内陸に移されている。一番被害がひどかったエリアについても、既に瓦礫はほとんどなくなって、やけにさっぱりとした風景が広がっている(石巻や仙台名取よりも被害がひどく、心が痛む)が、その先のプランを描くことができないのだという。瓦礫を撤去するボランティア向けの屋台村もあったり、タクシーも頻繁に見かけ、地元企業も土建業を中心に活気があるように見えたが、「片付ける」という需要が一段落した後はどうなるのだろうか。正直言って自力で復興するのは難しい気がする。産業を誘致するために、行政がよっぽど思いきった優遇策を取らなければ、「片付けて終わり」になってしまうと感じた。少し失礼な言い方になるが、天気がいいこともあって、高台にあるホテルから見える風景は遺跡か観光地のようだ。今後地盤沈下が収まったとしても、海沿いのエリアは公園やモニュメントのような地区にするしかないと思う。

気仙沼で2件の用事を終えて仙台に戻る。北に行けば行くほど日没も早い。16時にはもう太陽が地平線の近くに近付いている。すっかり暗くなった仙台に着いて、もう一仕事して東京に戻る。結局終電近くの帰宅になる。今月いっぱいは、やるべきことをやりきるための日々が続く。会社としての評価はどうであれ、今年は転職してからはじめて、自分自身の仕事ぶりに満足のいく年になると思っちゃってもいいんじゃないかと思っている。だからこそ、中途半端な終わり方はしたくない。