雲のかたち。

生温かい風が吹き荒れた土曜日から一転、日曜日は初秋に季節が戻ったような陽気になった。朝5時に起きて、大菩薩嶺に登ってきた。西国分寺で車に乗せてもらって、中央道を1時間ほど行って、勝沼で下りてさらに北に進むと、登山口のロッジ長兵衛につく。収穫の終わったぶどうの樹も、紅葉なのか色づいている。

雨風が空気中のホコリを洗い流して、空気は綺麗に澄んでいる。朝方はぬかるんでいた落ち葉も、昼頃になるとほとんど乾いてきて、カサカサと音を立てる。山小屋はよく整備されていて高尾山のようだ。日本百名山にしてはかなり登りやすい。ピークまで一気に登る所ではいい汗をかいたものの、そこからはハイキングのように稜線歩き、尾根歩きを楽しんだ。

稜線に上がってくると、甲府盆地に低く雲がかかっているのが見える。登山道の紅葉は残念ながらほとんど終わっているのだが、眼下に見える低い山はどこも紅く染まっている。真正面に大きく見える富士山にも笠雲がかかっている。上を見上げると、薄い雲が手の届きそうな高さを猛スピードで流れていく。冬の気候になれば雲が取れてもっと空が高くなるのだろう。だから僕は冬山が好きなのだ。

★★★

普段僕は、休みの日は仕事のことや悩みごとをほとんど思い出したりすることがないのだが、何故か山に来ると、ドロドロした感情とともにそういった悩みの種が湧き上がってくる。せっかく大自然のなかにいるだからそれを満喫すればいいのになぜそんなことばかり脳裏に浮かんでくるのだろう、と自己嫌悪になったりもする。

普段の僕は無意識的に悩むことを止めようと考えているのかもしれない。自分では悩みの少ないほうの人間(たいていの悩みごとや考え事はここで吐き出している)だと自覚しているが、本来悩むようなことにもわざとふたをしてしまっているのかもしれない。それが、山の中に行くと炙りだされるように湧き上がってくるのだ。

よくジョギングをしていた時も、毎日往復1時間の自転車通勤をしていた時も、身体を動かしながら考えごとをしていたので、結論は出ないまでもうまくそこで消化されていた部分はあるのだと思う。身体のためにも、心のためにも、身体を動かす習慣をつけようと思った。

★★★

下山した後は、東京に戻って自宅でほうとうを作って、飲み会。最後に誕生日のプレゼントとしてメッセンジャーバッグを頂きました。鮮やかな赤色。このバッグをまとってロードバイクを漕ぎながら、よしなしごとでも考えようかと思います(笑)。ありがとう。