月を見ながら。

月蝕だった。満月の空に浮かぶ月が、どんどん赤黒くなっていく。奇しくも人里離れた静かな湖畔の、その上の漆黒の空にぼうっと月が見える。

 

夜半が過ぎてもいそいそと仕事を続けて、モニターに没頭していると、やがて日付が変わって、暦のうえでは一区切りの日がやってきた。

 

30代は振り返ってみればあっという間だった。20代の最終盤から営業に転身して、しんどいな、やりきれるかな、と思いながらも無我夢中でやっていたら、いつのまにか結果がついてくるようになってきた。そこから、ちょっと小休止するような時間を経て、30代の最終盤でまた、新しい切り口にチャレンジして、しんどいなあ、やりきれるかなあ、という入り口に立っている、というのがいま現在地だ。だから、きっと大丈夫だという根拠のない確信がある。

 

家庭環境は、意外と変わらなかったのかもしれない。それでも、時間の経過とともに着実な歩みがあったと思う。静かに、節目の時を迎える。自分のなかでの遊びを大切にして、これからもやれることをやっていく。