マー姉ちゃん。

なんだかんだで毎朝見てしまっていた「マー姉ちゃん」も最終週。40年以上前の作品で、なにかと騒がしいイメージが冒頭からラストまでつきまとった。


昭和の良さがぎゅっと詰まっている作品だったと思う。戦前から戦後まで、客観的に見ればけして豊かな時代でもなかった。確かに長谷川家は名家ではあったものの、実に気前よく手持ちの財産を困っている人に分け与えている。みながみなこういう人ではなかったかもしれないが、この時代までは、宵越しの銭は持たない、という思想を持つ人は多かっただろうし、財産は子孫に継承せず、一代で使い切ってしまう、ということもよくあることであった。


いつからか、人々は守銭奴のようになり、いかに資産を減らさずに後世に引き継ぐか、が関心事になり、そのためのビジネスも進化した。それと反比例するかのように、日本経済のダイナミズムも失われていった。昔積み上げたものを後生大事に取り崩しながら生き永らえようとする人が増え、あげくの果てにはそうして守ろうとする資産も、円安と資源価格をはじめとするインフレにより吹き飛びはじめようとしている。


ただ、これも必要なプロセスなのかもしれない。なにもかもを失っても、また「マー姉ちゃん」一家のように、前を向いて自分のなすべきことに取り組めば、道も開けてくるはずだ。そんなことを教えてくれた作品だったと思う。