完走。

「いだてん」最終回まで完走である。戦国や明治維新ものとは違って、主人公の死がラストでもないので、本当に大円団という気持ちで壮快である。最終回は前半部分でオリンピックの模様を展開して、一気にボルテージを上げてそのままフィナーレになだれ込むかと思いきや、落語を挿入してあえてワンクッション置き、抑揚をきかせた形でラストシーンに繋げた。やっぱり落語が最後までアクセントになっていたのだと思う。


1964年のオリンピックは今から振り返れば、まだ戦争を随所に引きずるなかでの東京開催であった。2020年のオリンピックはさてどんな風景になるだろうか。旧世代が引っ張り続けた「夢よもう一度」を無理やり成就させるためのドタバタ劇を含む茶番になるのか、それとも新しい、本当の戦後レジームからの脱却の一里塚となるのか、さじ加減は僕らに委ねられている。クドカンが「いだてん」に吹き込んだ思い、突きつけた命題にどう答えるか、ひとりひとりが試されている。