月と乱読。

帰り道、月が大きい。昔から節目にあるときに夜空を見上げると、きまって満月が空に浮かんでいた。なにかのバイオリズムのように、月に守られているのかもしれない。


たいていのことは、ほどよく抑制を効かせなければ失敗してしまう。そういう意味で、いまの時期は慎重に過ごすにこしたことはない。頭だけでものごとを判断してしまわずに、腹で、心で捉え、なにかメッセージが送られてきたらば、それに逆らわずに真摯に受け取るしかない。


大学を卒業する前の数ヶ月、よく書店にこもっててあたりしだいに乱読することが多かった。頭の中が渇いていて、なんでもいいから知識という水を吸収させたいという気持ちが強かったのかもしれない。いままた同じような気持ちに至っている。年齢は重ねたけれども、あの時と同じどん欲さとみずみずしさで、世界と向き合っていきたい。


月に背を向けて、小走りへ自宅への坂を下る。カレーの匂いが漂ってくる。