受験の風景。

週末は実に8年ぶりの資格試験受験であった。日曜の朝、自宅からバスと地下鉄を乗り継いで会場に向かう。地下鉄の出口を出ると、あまり映えない色の私服にリュックを背負い、どことなく陰うつな空気をまとった人たちの流れが続いている。試験を受けるのは久々だが、この試験を受けに行く人たちの空気感は時代が変わっても全然変わらない。僕もまた、その流れの1人となって、黙々と歩く。

地下鉄の駅から会場までは歩いて20分かかる。最後は急な登り坂もあり息が切れる。試験前のウォーミングアップとしては申し分ない。無事会場に入り、指定された教室に座る。考えてみれば、固い教室の椅子に座るのもずいぶん久しぶりだ。電車の座席も、オフィスの椅子も、訪問先のソファも、みないまは柔らかいものばかりで、お尻が贅沢病にかかっている。

試験官の細かさや、答案用紙が配られてから試験開始までの微妙な時間、試験が始まってからの脳内をめぐる邪念など、懐かしい感覚ばかりだった。結果はなんとも言えないが、たまにはこうやって試験を受ける立場になるのも良いかもしれない。