クリスマスソング。

出張から帰ってきて、飲み会から帰ってきて、深夜のスーパーに水を汲みに行くのはたいてい僕の仕事だ。ハイネックのスウェットを羽織り、おしりに穴の空いたジャージを穿き、しみの目立つダウンジャケットを着込んで自転車を走らせる。わが家のあたりになると、山手線沿線と比べて夜の冷え込みは3〜4度ほど厳しくなる。手袋をしていない手がかじかむ。

ひと気の少なくなったスーパーに入る。なにかを買おうと思って来たわけではないのに、ただ水を汲んで帰るのは忍びなくて、買い物カゴを取ってとりあえず店を一周してしまう。疲れているし早く家に戻って熱いお風呂に入ればよいのだが、それでも陳列棚を物色してしまう。特にこの時間帯は売れ残ったお惣菜やデザートに割引シールが貼られていて、その誘惑にいとも簡単にやられる。カゴを手に持っている以上なんらかを入れてレジを通らなければという思惑も働く。そんなわけでいつの間にかカゴにいくつかの食べものが並び、見慣れた面々が並ぶレジに吸い込まれる。

支払いを済ませて、ようやく主目的である給水サーバーへ。3.8リットルのボトルが満つるまでの約1分半はやたらと長く感じる。入店してからここまで、壊れたスピーカーのように定番のクリスマスソングが流れ続ける。