過疎。

先日鳥取と島根に行ってきた。ともに過疎化が進んでおり、かなり前から人口が減少している。そういった意味では日本の先端を行っている両県である。

それぞれいくつかある街の中心部では人家が密集しているのだが、街自体がこじんまりとしており、街が途切れると一気に人家がまばらになるところは北海道やヨーロッパ、人口の少ない途上国に似ている。過疎化がはじまってもう数十年も経っているので、自然にコンパクトシティ化が進んでいるのだろう。

仕事なので足を運ぶ時間はなかったのだが、興味深かったのは石見銀山の話だ。江戸時代初期、銀山での採掘が最盛期を迎えた頃、一帯の人口は20万人を超えたと称されている。銀山自体が狭い谷にあり、どれだけ長屋を建てても20万人はさすがに居住できないと思われるため、実際は4〜5万人が暮らしていたと言われるが、それでも凄いことだ。いまでは一帯の人口は500人を割っている。最盛期の活気はどれほどのものだったのだろう。タイムスリップしてみたくなった。

昔は栄えていたが、いまはそうではなくなった、という場所がどんどん増えていく時代なのだろう。そのように栄枯盛衰していくことの良し悪しをいろいろと感じた、もっと言えば衰えていくことも悪いことばかりではないことに気づいた山陰行きだった。