アブラ。

ひょんなことから焼肉をごちそうになる。それなりに都内いろんなお店には行ったけれども、今夜はなかなか美味しい(そしておそらくはお値段もそこそこリーズナブル)ところだった。

 

和牛ユッケからはじまり、たいへんおいしくいただいたのだが、歳のせいだろうか、カルビがなかなかキツくなってきた。良質な脂(サシ)を身にまとったさまは、うっとりとするほどで、口に含むとそれが広がるのだが、胃袋だけは正直で、これ以上脂を入れないでくれ、とシグナルを発してくる。食べたい気持ちと、食べられないという相反する要請がせめぎあっている。

 

楽しい話と、やれたらいいなという仕事の展望を宙に浮かべながら、会食の時間が終わる。ふわふわとしたまま、来なれない街を歩いて、かけ忘れた電話をかけながら、お使いの品物を求めて彷徨う。初夏の訪れを感じる路地には、外国人の観光客がたむろしている。

 

毎日まいにち精一杯できることをやる。できないとか、考えずにとにかく前に進む。