人間らしさ、

北の地にて懸案の面談に臨む。何度も周到に準備を重ねて、気持ちも整えて臨んだだけあって、首尾上々で乗り切ることができた。まずはひと安心、ふた安心である。

 

そして彼の国の人々は気持ちが良い。街を歩いているときに突然雨が降り出して困ったな、と思ったが、なんと道ゆく人が傘を差し出してくれた。もちろん旅の道すがらなので丁寧に断ったが、困っている人をほおっておけないんだな、ということがよく分かって心が温かくなった。

 

なにか人の役に立つことをすれば、必ずお礼が返ってくる。そういう文化が息づいている国は暮らしていても住みやすいだろう。経済的には東京と比べれば苦しいのかもしれないが、東京と比べて生きづらさは全くもって少ないように思う。

 

見えなくなっていたものが見えるようになつまて、人間らしさを少し取り戻して、次の街に向かう。またすぐにやってくることになるはずだ。

 

通りを外れるとすぐに掘建て小屋が並ぶような旧市街である。変わってほしくないものがたくさん眠っている街である。