上陸。

飛行機が沖縄本島を斜めに縦断して、右の窓から夜の灯りが見える。ぐっと右旋回して、市街地を走る車の粒が見えるようになると着陸だ。


1月の島はカラッとしていてだいぶ肌寒い。道ゆく人も普通にスーツを着ていて、ちょっと違和感がある。考えてみればこの時期にくるのは初めてだ。


いつもはしっかりときいているモノレールの空調もほとんどついていなくて、駅ごとに流れるメロディもどことなくくぐもって聞こえるのは、気圧の変化で耳がまだ本調子でないからか。


ホテルに荷物を置く。なにも予定がない地方の夜ほど自由なものはない。既に21時を過ぎているものの、意気揚々と近くの食堂に飛び込んで、定食と瓶ビールを一本頼む。NHKのニュースを見て、おばあの世間話を肴にちびりちびりとやる。


腹も膨れて、そのままあてもなくふらふらと街角を歩く。風は冷たいが、真冬の東京に比べればかりゆしでもなんとかなる。足が棒になるくらいに歩いて、気の向くままに買い物をして、人気のなくなった大通りをニッコリとしながら戻る。