首里城。

珍しく、首里城のあたりまで足を運ぶことになった。モノレールは起伏のある丘をぐんぐんと登ってゆく。普通の鉄軌道では登れないくらいの急勾配だそうだ。ちょっとしたジェットコースター気分になる。


残念ながら焼失してしまった本殿と、周りの残った壁面を眺めているうちに、初めて沖縄にきたことを思い出した。あれは確か、2007年の年末だったか。


その年初めての転職をした僕は、さんざんな年末を迎えていた。周りについていくこともなかなかできず、落ちこぼれそのもので劣等感にさいなまれていた。どうしてこんな人生になってしまったのだろう。来年はどうしよう、などと頭を抱えていた。


そんななか、ほとんど書類のデリバリーのような沖縄出張がはいった。いいことのなかった入社後の半年でも、最後くらいはご褒美がきたのかしら、と思ってウキウキしながら出張に赴いた。 


さすがに書類のデリバリーなので失敗しようもなく、一通りの役目を終えると、その頃那覇に住んでいた友人と一緒に首里城に行ったのだ。あのときの、ストレスと安堵感が入り混じったなんともいえない心理状態を、10年以上ぶりに思い出す。


あれからちょうど干支もひとまわりしたのだ。遥か遠くまで来たもんだと思う。