蓄積。

幼稚園の参観があったので、振替休日に春まで通っていた保育園に子どもを預かってもらう日があった。その日は仕事にも余裕があったので、送り迎えともに僕が担当である。朝、電動自転車を漕ぎながら、ちょっと前まではこれを毎日こなしていたのか、と自分でも驚いた。まったく、楽になってしまえばそれはそれですぐに慣れてしまうのである。

それでも、道すがら息子といろいろ会話をするのは楽しい。もっとも途中から小雨がぱらつきはじめたので、チャイルドシートのカバーを閉めてしまったのだが。一心不乱に自転車を漕いでいると、在りし日にペダルを漕ぎながら仕事のこと、人間関係のことなどいろいろと考えながらこうして走っていたことを思い出す。

しんどい思いをすればその分だけ報われることがある、などと短絡的に言うつもりはない。だけれども、あの日々はあの日々なりに充実していて、いろんなことを思ったり考えたりしながら生活をまわしていたのだ。そしてそんな日々の蓄積が、自分自身のアイデンティティになっていることを感じる。