災い。

水害のあった常総市を訪れる機会があった。iPhoneで当時の浸水マップを開きながら、イメージを膨らませて現地の人の案内を聞いた。

現地を見ると、かなりの広いエリアで水が浸かったことがわかる。水害からちょうど2年が経って、はた目には復旧は進んでいるように見えるが、その実、若い世代や企業の流出は進んでいるのだと言う。

ハコモノ補助金義援金やらで新しくすることはできるが、いったん途切れた販路や去っていった人をおカネでつなぎとめることはできない。常総市の場合は、結局義援金も充分でなく、当地での生活再建を諦めた人も多かった。

仕事も終え、ひとしきり現地に滞在してから、関東鉄道常総線に乗って帰る。ディーゼルカーがコトコトと走るこの線路一帯も、当時は水に浸かった場所だ。ロングシートに座る地元の人の顔ぶれをまじまじと見つめてしまう。

なにゆえに神様はこの地に災いをもたらしたのだろうか、そんな答えの出ないことをずっと考えながら、揺れの激しいシートに身を委ねる。