弱まる米ドルとカンボジア経済。

ギリシャ国債格付けがとうとう「Ca」に格下げ。これより下は「D」(完全にデフォルト)しかないので、これは事実上のデフォルトと言っても差し支えない。それでもEUは支援策を合意に持っていったそうだが。

連邦政府の総債務残高の上限引き上げ問題で、米国も揺れている。議会が揉めに揉めており収拾がついていない。今朝オバマが演説をしていたが、事態はかなり切羽詰まってきているようだ。最終的には落ち着くべきところに落ち着くと信じているが、米国債の格付けは最上位の「AAA」から引き下げられる可能性が出てきている。これらと関連してドルの力も弱まり、きょうドル円は一時77円台を付けている。日本もこれから復興に向けて進んでいかなければならない中でこれだけ円高にさせられると、輸出産業は利益が吹き飛んで相当苦しいはずで、とんだとばっちり。

★★★

さて、相対的なドルの地位が弱まる、という言葉を聞いて僕はカンボジアのことに思いを馳せた。

昔大学の時にこの件でしょぼい論文を書いたことがあるのだが、カンボジアでは日常取引の9割以上が米ドルで決済されている。一応リエルという自国通貨もあるのだが、あまり信認を得ておらず、実際僕が現地に行ったときでも、食事やコンビニで買えるような少額の買い物でしかリエルは使えなかった(ドルで支払ってリエルでお釣りが返ってくるとうわぁ〜使いきれるかしらと内心思ってしまったりも)。普通の観光旅行であればまずドルだけで全て事足りる。この状況は僕が論文を書いた8年前とほとんど変わっていないらしい。米ドルが実質的な主要通貨となっているということで、海外と取引をする際の為替リスクがなく、安定的に輸出入を行えるというメリットが今までは大きかったのだが、これからもドルの価値が弱まっていくのだとすれば、ドルであふれているカンボジアにとっては大きなデメリットとなる。カンボジアがこの方針を変更するとすれば、①自国通貨リエルを育てる、②国内西部での流通量が多いタイの通貨バーツを代わりに全土で主要通貨として用いる、の2択だろうけど、①の道のりは遠そうだし、②タイとは国境問題で険悪な関係だし、でなかなかどちらも難しそうだ。カンボジアの経済成長は確かなものではあるが、思わぬ足かせを抱えてしまっている。

ちなみにここからは豆知識だが、パチンコのマルハンがなんとカンボジアで銀行を開設している。その名もマルハンジャパン銀行!あちらでは日本のブランド力というのは一定の効果を発揮するらしい。米ドル定期預金が5%を超えており、日本人も200人ほど既に口座開設しているらしい。知らなかったなぁ。