甲子園。
育児も落ち着き、今年は比較的余裕をもって仕事と生活をまわせているので、数年ぶりに夏の高校野球をよくテレビ観戦できている。
先週の金曜日、大会第4日は好カードが相次いだ。驚いたのは、午前6時半すぎに有料席が満員となり、7時には外野席も埋まったということだ。連休初日に伝統校や有力校が顔を揃えた、というタイミングとはいえ、人気に本当に陰りが見えているのだろうか、と疑うような状況だった。
酷暑が年々強まる真夏の地で連戦を行う、というもはや運動生理学的な見地からすれば非常識な大会となったのが夏の甲子園である。日本プロ野球やメジャーのスカウトは、有力選手が地方予選で敗退することをむしろ喜ぶむきもあると聞く。本当にトップレベルを目指す選手にとっての甲子園の価値が希薄化していくなかで、甲子園に求められることは何なのだろうか。
今年も、昭和のようなスパルタ思考をもった監督率いる高校が初出場を果たしたり、骨折しながら出場してホームランを打つという美談だか愚行だかわからないようなエピソードが現れた。熱狂的なファンは減ることはないが、いったい甲子園はどこに向かっているのだろうか、と思わざるを得ないことも少なくない。もう少しすれば風向きも変わるような気もする。