積ん読。

例年に比べて特段忙しい、というほどでもないのだが、年明けに買った本を積ん読のまま放置していた。本というものは、心にスキマがないとなかなかページを開けにくい。ここ数年は、せっかく買っても一読すれば2度とページを開くこともない本も多く、もったいないな、と思う。いつか、あと数十年くらいすればまたページを開いて懐かしむのかもしれない。

積ん読にしていたのは、「野村證券第2事業法人部」である。意を決して出張の飛行機のなかでページを開いたのだが、予想通り読後の胸焼け感が半端ない。綴られるエピソードひとつひとつがどぎつく、よくもこんなことを毎日、毎年繰り返して仕事をしてきたな、と思ってしまう。スキルや努力だけで到達できる世界ではなく、精神力がなければ泳ぎきれない世界である。

そんな世界の沼にどっぷりと浸かりながら、どんな思いに突き動かされて著者は仕事をしているのだろうか、ということを僕は考えていた。文中には、エピソードは満載で、その時の気持ちも書かれているのだが、そのもっと手前にある著者自身の仕事や人生に対する思いは書かれていない。そこは行間から読み取るしかないのだ。結論の出るはずのない問いだけれども、そのエッセンスを考えることで、著者の身になぜこのような事態が起こったのか、少しは想像できるのだと思う。そういう意味でも、貴重な記録文書だ。