師走へ。

大手町界隈を歩いていると、クリスマスツリーを見かけることが多い。大きな会社や複合ビルのエントランスには、きまって大人の背丈の2倍くらいはありそうなツリーが鎮座している。なにかとバタバタする時期でありながらも、華やいだ気分になる。

小さい頃、クリスマスの朝は覚醒してもすぐに眼を開かなかった。眼をつぶったままで、枕元を手探りでゴソゴソとかきまわす。そうして、指先がなんらかの箱に当たると、ホッとしてひと呼吸、なんだろうかと思いを巡らせてからおもむろに眼を開ける。この一連の流れを、クリスマスと言えば思い出す。

息子は保育園で覚えたのか、「あわてんぼうのサンタクロース」の歌を唄うようになった。クリスマスの意味は来年には分かるだろうか。これまでとはまた違う意味で、1年いちねんをクリスマスと一緒に刻んでいく。あわてんぼうの父親もまた、そそくさと仕事を終えて電車に駆け込む。泣いても笑っても今年もあと1カ月。