カネのうねり。

珍しくいわきに出張。震災以後では2回目になる。いわき駅の裏山にあるお墓は、15年前に東北旅行をしたときに野宿をしたことがある。あの時と同じく、きょうは雲が低く立ち込めて湿気の多い1日だった。

駅から駅前通りを歩いて、右側に広がるのは飲み屋街だ。市内だけで1,000軒以上ある飲み屋の半分がここに集まっているとか。一時期よりも客足は鈍ってきたようだが、まだまだ相当に賑わっているようだ。昼間に福一での作業に従事していた人たちが、夜になると飲み屋で疲れを発散させる。作業員の人たちはみな揃って酔っ払うと、「上を向いて歩こう」を歌うそうだ。この街に今まで何度この歌声が響いたのだろうか。

それとともに、この5年でどれだけのカネがこの街を通り抜けていったのかを思うと、気が遠くなる。ピーク時は、この街で年間1,000台のレクサスが売れたという。うねりのようなカネの流れに包みこまれた街だ。当然、さまざまな立場の人どうしで、複雑な感情もあるだろう。

普段目の当たりにすることのないようなさまざまな感情が心のなかに入り込んでくる。また近いうちに来る機会が楽しみになる。