スペース。

夏の夜の過ごし方は難しい。わが家の寝室にはキングサイズのベッドがひとつ置かれているが、家族3人ではそろそろスペースが限界になってきた。

うちの息子は誰に似たのか、人とくっついて寝る習性がある。特に頭をぐいぐいとくっつけてくる。たいていは僕の頭にくっついてくるのだが、おさまりの悪さを感じたときは、まるでセンサーでもあるかのように妻の頭に向かってごろごろと寝返りをうって移動し、またぴったりとくっついている。

くっついてこられた時の、ベッド内の僕のスペースはおそらく幅50センチに満たない。昔の寝台列車の3段式ベッドよりも狭いことは間違いない。縮こめた肩に自重がかかることを感じながらも、仰向けになって心を無にして眠ろうとする。

たまには広いベッドを独り占めにして手足を伸ばして寝たいな、とも思うが、あまりにもいまの環境に慣れすぎたせいか、ホテルで独りで横になると逆に違和感を覚えるようになって落ち着かない。慣れとは恐ろしいものである。