輪廻。
出張の多かった今週、土曜日の朝を東北で迎える。目を覚ますと、昨夜のアルコールは消えていて身体は軽い。脳に入ってきた話のあれこれも、全部とはいかないまでもスッと整理されている。知らぬ間に眠りに落ちて、そのまま朝まで一度も目を覚まさなかったようだ。
バスタブに湯を張って浸かる。1人暮らししていた頃のアパートと同じ、体育座りでしか入れないような狭いユニットバスだ。ふと昨日は昔の話をよくしていたことを思い出す。もうずいぶんと、いろんな時間を重ねてきたように思う。
どっと汗が出てもう我慢できなくなってから、栓を抜いてシャワーを浴びる。それが終わっても汗はひかず、部屋の窓を開ける。5月の東北の朝はまだ寒く、驚くほど冷たい空気が流れ込んでくる。窓から見える駅前のロータリーは、人っ子ひとりおらず時間が止まっている。
1日単位で、1週間単位で、1ヶ月単位で、1年単位でそれぞれに人は生まれ変わる。新しく生まれる、というのはどんな時であってもワクワクするものだ。