旅行業の再定義。

大江戸温泉物語が米国のベインキャピタルに買収されたというニュースが先週流れた。観光業はいまこの国のみならず世界でも有数の成長産業と言える、その象徴のようなできごと。

とにかく宿泊施設が足りていないと聞く。箱根などは潰れる寸前のような旅館まで連日宿泊客でにぎわい、週末などは全ての宿が満室になっている。国内首位に躍り出た某ホテルチェーン(カリスマ経営者のところ)も、訪日客が既にかなりのシェアを占めているそうだ。とにかく訪日客がコンスタントに増えているので、オフシーズンという概念が失くなりつつある。

訪日客の勢いは今後円高になろうとももはや止まることはないだろう。価値の高い旅をするためならどれだけ値が張ろうとも構わないという人が増え、そのニーズに応えるような高価格帯のサービスが生まれつつある。1泊10万円を超える宿が増え、100万円を超えるところも出てきたとか。

ここ100年くらいで数え切れないくらいにたくさんの娯楽が生まれた。それでも今なお旅という非日常の体験こそが一番人生を潤す娯楽の王様であり、おそらくこれからもその地位は変わらないだろう。旅、観光業は、コストの積み重ねから価格が弾き出されたこれまでの時代から、体験がもたらす価値に対して価格が付けられるべく再定義されていくのかもしれない。だとすると、日本旅行の価値は日本人すら理解しきれておらず、まだまだ割安に放置されているということだろう。