手渡し。

もう1年くらい、iPhoneアプリで「どうぶつしょうぎ」で遊んでいる。去年1度課金して1ヶ月指し放題にしていた時は睡眠時間を削って廃人のように遊んでしまったので、課金は止めようと固く誓っているが、コンスタントに1日数局は指している。持ち時間が少なく1局1〜3分程度で終わるので遊びやすい。

どうぶつしょうぎを指していて1番勉強になるのが「手渡し」の技術である。将棋に限らずボードゲームの原則として、相手が1手指すと、必ずこちらも1手を指さなければならないのだ。パスができないということが、ゲームの性質に大きく影響しているのだ。

どうぶつしょうぎは駒がわずか4つずつ、3×4の小さなスペースで戦うので、局面が煮詰まりやすい。自分の手番が来たときに、どの駒をどう動かしても、動かす前と比べて不利に局面なる、ということがたびたびある。むしろ、相手にそのような局面を迎えさせることを狙って、自分の手を指していくようになる。これが「手渡し」である。自分の手で積極的に局面を良くしていくのではなく、相手に悪い手を指させる(もしくは悪い手しかない局面に持っていく)ということだ。双方がそのように駆け引きをし合うこともあり、どうぶつしょうぎの対戦は引き分けに終わることも多い。

僕なぞはシンプルなどうぶつしょうぎを指し込んではじめて「手渡し」の真髄に触れたが、巧いプロ棋士は「手渡し」の技術に長けている。将棋でも、他のことでも、「手渡し」を巧く使える人になれたらいいな、と思う。