『おっぱいバレー』

ここでは貼り付けないけど、まずこの作品はパッケージだけでお腹いっぱいになる。綾瀬はるかはおっぱいのみならず顔がエロい。性格は真面目なのに顔がエロいということの破壊力は絶大である。

綾瀬はるかと言えば昨年末の紅白の司会の印象が強い。真面目さに天然なところが混じってなんとも不思議な空気を作り出す、この作品ではそんな彼女の味がそのまま出ている。

あらすじは非常にシンプルであり今さら説明の必要もない。見どころは綾瀬はるかこと美香子先生が戸惑いながらも場の流れにのまれていく点と、男子中学生たちの性に対する執着心の強さに絞られる。この2点をメインディッシュ(いわゆるオカズ)にして、1979年の北九州という時代と風景そして流される音楽が良いスパイスとして彩られている。

この作品は実話が小説となり、それが映画化されたという経緯があるが、はじめから綾瀬はるかが美香子先生を演じることを想定していたとしか考えられないくらいに、彼女は役にはまっている。中学生の先生としての真面目さ、やんちゃな中学生に翻弄されるさま、中学生の頑張りに素直に感動するさま、元カレとのぎこちないやり取り、おっぱいを見せるという約束を校長に問い詰められて正直に白状してしまうさま、全てが綾瀬はるかの素の行動しか思えないほどに本人と役柄がシンクロしている。ストーリー自体はシンプルな割にうやむやにされたままに終わっている点も多いのだが違和感がないのは、綾瀬はるか様々と言うか、配役の勝利である。

あとはもう男子中学生たちの飽くなき性への執着がこれでもかとぶち込まれている。見ていて笑えるというよりは、共感を覚えることばかり。Twitterで「#アホ男子死亡かるた」というジャンルの大喜利があったが、並んでいるエピソードとしてはそれに近いものがある。と言うか、ああいう形の性への興味・欲求というのは異性愛者であればほぼ誰でも通る道であるし、その頃にどうやって欲求を満たしてきたかという過程が、その後大人になってからの性生活にも大きく影響を及ぼしていることは間違いない。抑圧しすぎるのもよくないのだ(野放しすぎるとそれはそれでまた問題がいろいろと起こるからこそやむなく抑圧している、という事情もあるのだろうが)。そういう意味では作中の中学生はストレートに興味・欲求を表していてすがすがしい気持ちになった。

最後にやっぱり思うのは、綾瀬はるかがよくこの仕事を受けたなぁということ。それなしにはこの作品も生まれなかった。どこまで考えて仕事を受けたのかは知る由もないが、綾瀬はるかがただ者ではないことは間違いない。