キャリアのこと。

最近たて続けに4人ほど昔の同僚に会った。みな新しく移った会社で悩みながらもそれなりに楽しくやっているようだ。その姿をみていると、結局どこに行っても同じなのだろうな、と思えてくる。よほど今の居場所がいづらい状況に追い込まれているなどといった特殊要因でもない限り、本質的な悩みや喜びというのは変わらないものなのだろうな、と思う。

そういう本質的な問題に向き合わず、環境だけを変えて心機一転頑張ろうとしたところで、また同じような壁にぶちあたるだけだ。そうして初めて、本当の問題は環境を変えるだけでは解決しないということに気付けるのであれば、それはそれで意味のあるものではあるが。しかしながら、環境をどんどんと変えていくのはあまりにももったいない。職位や給料というものは、長年の選択と集中のうえに積み重ねられたスキルの深さと広さに対して支払われるものであり、気の向くままにキャリアチェンジを重ねることは、その積み重ねを都度つど崩していくことと言ってもいい。

★★★

週末、Eテレ「swtichインタビュー 達人達 」を見た。出演は林修氏×岩瀬大輔氏。『仕事は「やりたいか?」ではなく「やれるか?」「やるべきことか?」で選べ』という言葉が印象に残る。その通り、いつからか、やりたいことを仕事にするべきだ、という考えが浸透し過ぎてしまった。仕事をしてお金をもらうという本来のあり方から離れてしまい、仕事を通じてどう自己実現するか、という面ばかりがフォーカスされるようになってしまった。

僕自身、社会人10年目を前にしてようやく、自分のやるべきことが少しだけ見えてきたように思う。むろん、今でもなお全く新しいことにキャリアチェンジしてみようか、と思わないこともないが、社会人になりたての頃や転職した頃、4〜5年前と比べればフラフラしなくなったように思う。意識していたわけではないけれど、結果的に選択と集中を重ねてきて、採り得る選択肢は狭まったけれども、その分目の前がはっきりと見えてきたように思う。まだまだ満足していられないし、夢中でやらなければならないポジションだとは自覚しているが、気づけばこれが自分のやることだ、とちょっとは胸を張って言えるようになった。

結局また僕も別の道を選ぶのかもしれない。でも、今年自分がやったことが、未来に繋がっていくであろうことは間違いないのだと思う。窮地に立って悩んだこともあったけれど、逃げなかったこと、どうにか着地点を見出したことは財産になると思う。まずはもう1年、今やっていることの一つひとつをもっとレベルアップしていきたい。