この世はでっかい花見酒。

先週後半は株も為替も金利も乱高下。23日木曜日の下げは東日本大震災直後の3月15日の下げ幅を上回った。あれだけ暴力的な値動きを見せつけられると、本能的に嫌な悪寒が背筋を走る。

★★★

ここ半年の株価上昇は出来過ぎと言ってもいいくらいである。日経平均株価は7割以上の値上がりとなった。民主党から自民党への政権交代円高局面から円安局面への転換、黒田日銀新総裁による「異次元」金融緩和。それぞれがうまく噛み合って、何十年に一度しか見られない大相場を作りあげた。株価が上がっただけで実態はなにも変わっていない、と言う向きもあるが、株価が上がった、円安が進行した、というたったそれだけのことで、百貨店の売り上げが伸び、夜の街が賑やかになり、外国人観光客の姿がどっと増えた。そして安倍政権の支持率は近年見たことのない高さを保っている。結局のところ、どんな小手先の政策よりも、株価が上がってなんとなく気分が高揚することが政権の人気を取る1番の特効薬だったのである。

直近の激しい値動きは、そのような高揚感から目を覚まし、頭を冷やすのにこれ以上ない効果をもたらしており、相場の潮目を変えるポイントになるのだと思われる。今週も多少の下げがみられるはずだ。しかしながら相場は徐々に落ち着き、やがてもう一度直近の高値である16,000円を目指すだろう。そしてこれまでの上昇相場を支えた金融・不動産株から、製造業に主役は移っていくものと思われる。連想的に買われていくのではなく、実際に業績が好転する姿をみて買われていく、そんな相場へと転換していくと考えている。

なので、中期的な見通しは楽観視しているのだが、一抹の不安もある。現政権が、株価を高値圏で維持することが自分たちの地位を守る大きな武器になる、と感じているのではないかという懸念である。それはある意味では正解なのだが、打ち出す政策の中味が、株価にプラスの影響をもたらすか、という面から吟味される、すなわち株価の方ばかり気にして政治をするようなことになりかねない。そして、株価上昇につながる政策ばかりを積み上げた果てにたどり着くのは、バブルとその崩壊である。

自民党政権は6月にも成長戦略を発表する。今の流れからいくと、単なる成長戦略というだけでなく、株価の底上げを意識した戦略になるだろうし、市場もそのような目で見ることになるだろう。恐らくバブルは避けられない。避けられないとわかっている以上は、バブルに乗っかるか、バブルに関わらず生きていくしかない。まぁ狙って上手く乗っかれるかどうかはわからないし、日常生活を営んでいる限りバブルの影響から完全に逃れることはできないのだが。