シャープとパナソニック。

相変わらず昼間の日差しは暴力的なれども、朝夕、通勤の道すがらは気持ちのよい風が吹くようになってきた。秋来ぬと目にはさやかに見えぬとも・・・といった季節。これから少しずつ秋らしさを見つけるのが楽しみになってくる。

★★★

大手電機メーカーの苦闘が話題になっている。なかでもシャープの状況は崖っぷちにきている。いち早く太陽光発電に取り組んでいたことや、有名な亀山モデル(うちのAQUOSの左上にも「世界の亀山ブランド」のシールが貼られている)の液晶パネル。目のつけどころがシャープでしょ、と言うとおり先見の明は間違っていなかったはずである。しかしながら、短期間かつ急速に太陽光パネルや液晶パネルの価格下落が進むことにより、せっかく国内に建設した巨大工場が投資を回収できず不良資産となり、なおかつ投資に伴って膨らんできた借入れの返済が難しくなっている、というのが半年前までの状況であった。

この状況下から鴻海精密工業の出資を受け入れることでいったん危機を脱したかに見えた。ところがシャープのさらなる損失計上と株価下落により、鴻海精密工業との出資交渉が暗礁に乗り上げ、大幅なリストラや首都圏の拠点や家電事業などの資産売却を進めなければ目先の資金繰りが追いつかない(特に亀山工場に最新の設備を導入する目的で2006年に発行した転換社債2000億円が2013年9月に返済期限を迎えており、目下の一番の懸念事項となっている)状況にある。本業自体も弱ってきており、もはや自力での再生は難しく、実質的に飲み込まれ、技術が流出することを甘んじて受けてでも、鴻海精密工業と協働して、アップル製品をはじめとする液晶製品等の受託生産を収益の柱として据えるしかないのだろう。四ツ谷や幕張の事業拠点が急いで売却されたこともあり、社員の危機感は高まっており、おそらく鴻海精密工業との協働が急速に進んでいくのではないかと思われる。

一方で、一足早くこの3月期決算で空前絶後の損失計上を行ったパナソニックについては、ここのところ改革が順調に進んでいるように見える。今週の日経ビジネスオンラインの特集を見る限り、抽象的かつ手探りながらも新しい方向性を模索しつつある(以下↓)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20120607/233055/?leaf_kbn
・・・と、思っていたのだが、昨日の新製品発表会で「スマート家電」なるものが発表された。スマートフォンと連動して便利に使えるエアコン、冷蔵庫、洗濯機、体組計、活動量計、血圧計ということで、スマートフォンのアプリがリモコン代わりになるということだが・・・大丈夫かなぁ?個人的には大コケしそうな予感がするのだが。。財務状況がよく一度目の危機を乗り切ったパナソニック、二度目の危機とならないことを祈りたい。なんてったってものづくりの代表選手ですから。