ひと区切り、を前にして。

月曜日は金沢・富山、きょう木曜日は名古屋に出張。富山では、昨年退職して家業を継いだ先輩に会いに行った。もともと続けていた家業だけでなく、いろいろと新しい事業に手を出している。多角的経営の様子はさながら、20世紀初頭から私鉄が手がけた経営を思い起こさせる。鉄道を引いて、沿線に住宅地を開発して、商業施設も造って、その地域に暮らす人の生活の大部分に関わって収益機会を創っていく。そしてその地域のブランド力を高めていく。新卒就職の時にそんな仕事がいいなと思って私鉄会社を受けていた僕にとって、うらやましくもあり、そんなアプローチもあるんだという新しい驚きも得ることができた。これからの彼の事業展開と、彼の地盤のエリア自体の成長が楽しみである。

★★★

来月から今の仕事に就いて早くも6年目になる。正直ここまで長く続けているとは思ってもみなかった。そして、今の自分の仕事が、学校の先生と呼ばれる仕事と、なんだか似ているような気がしている。

金融機関から引き取って、自分の担当として新しくやってくる会社(や個人)は、さながら新入生のようなものだ。しかも、紆余曲折の上に金融機関が手放すことになった会社(や個人)なので、たいていはいわくつきだったり、何らかの問題を抱えている。(こんなピカピカの会社がなぜうちに売られてくるの?なんてこともたまにはある。)やれやれ、今回も一筋縄ではいかないな、とため息が出る。

そんな会社(や個人)のいいところを探していく。営んでいる本業自体に復活の可能性があるか、価値が低いとみなされ眠っていた資産を生かすことができるか。敵対的な姿勢を取らざるを得ないこともたまにはあるが、そうしたところで得るものは少ない(せいぜいつまらないカタルシスを得るくらいだ)。悪い子だなぁと心の片隅で思っていても、けして上から目線になってはいけない。あくまでも、いいところを探して市場価値を持たせたり、伸ばしていくことができるようにサポートしていく。相手のために尽くす、なんて考えは甘いと思われるかもしれない。しかしながら、真に相手の立場に立った姿勢を取り続けることで、自分自身の収益もあげられるのだ、と最近になって自分に自信を持てるようになってきた。今の会社で身につけることのできた最大の財産だ。

6年目以降も、もう少し今の仕事の延長上で、経験を積んでいきたいと考えている。5年前に考えていたところからは、随分違った景色になってきたけれど、たどり着いた場所もそう悪くはなかったな、と思っている。