フィリピン覚え書き5〜メトロ・マニラ交通事情〜

プエルトガレラをあとにして、ボートとバスを乗り継いでマニラに戻る。ルソン島南部ののどかな田園風景が続く。

マニラのなかでもエルミタと呼ばれる歓楽街でバスを下ろされて、予約してあるペニンシュラマニラに向かう。ペニンシュラを含めたある程度のランクのホテルはマカティと呼ばれる副都心に集まっているので、その方面に移動する。道路は渋滞しているので、まずは近くまで鉄道で行こうと考えて、MRTと呼ばれるマニラ首都圏を走る高架鉄道に乗る。

鉄道に乗るのは一苦労もふた苦労もかかる。まずは駅構内に入る前に、駅の前に男女別に人が並んでいる。荷物とボディチェックをするのだが、ザックのチャックを全て開けるわけでもなく超適当。なのになぜかチェックを受けなければ駅の中に入ることはできない。

そこを抜けて駅の中に入るとまた行列。きっぷの自動券売機らしきものはあるが、誰も使っていない。窓口に並んで行き先を告げてきっぷを買う。ここまででゆうに10分以上かかる。

やっとのことでホームに入るものの、やってきた電車に乗るのも大変だ。東京の満員電車など目じゃないくらいにぎゅうぎゅうに人が乗っている。身ひとつなら押し込んで乗り込めるだろうが、ザックなど持っていると、一本逃してホームの先頭に並んで(もちろん整列乗車などない)、後の人に押してもらうような形で乗り込むしかない。

そしてようやく乗り換え駅に着くが、そこでもまた同じことを繰り返さなければならないのだ。この時点で力尽きてタクシーで行くことを選択した。渋滞に巻き込まれることさえなければタクシーの乗るべきだと思う。

駅や電車は清潔で新しいのだが、どうもこうして非効率なのだろうか。同じアジアの都市交通として、バンコクやクアラルンプールのMRTは大量の乗客をスムーズにさばくべく、自動券売機や通路の導線もしっかりしていたのだが。

MRTに比べると、比較的マニラの路線バスは乗りやすい。英語が通じるので行きたいところを説明してもちゃんと伝わるし、車掌さんも親切な人が多い。渋滞が起こることのなさそうな時間帯であればこちらの方がいいかもしれない。ただし、マニラは大通りでも一方通行の箇所が多いので、あまり路線にバリエーションがなく、使いこなす、というほど便利ではない。

そんなこんなでたどりついたマカティの別名「フィリピンのウォール街」と呼ばれる、高層ビルやショッピングモールが連なる街である。住宅街には大抵プール付の敷地の広い邸宅が並んでいる。この街だけ切り取ると東京の都心と超高級住宅街が突然現われたように感じるほどだ。