キャバクラは究極のサービス業。

キャバクラというシステムは、日本という風土だからこそ発達したものだと思う。

キャバクラやホストクラブは、大きくなってしまった男の子や女の子の(歪んだ??)願望をそのままこの世界に具現化したものだ。ふかふかのソファー、みずみずしいフルーツ、可愛いキャバ嬢にどや顔で自慢話(たいてい他人にとってはどうでもいい話だったりする、この場で本当に面白い話ができる人もいるのだろうが出会ったことがない)したり、イケメンホストに持ち上げられたり。ひと晩で少なくとも数万円がぶっとんでいくが、おカネのことが頭からぶっ飛ぶほどの恍惚感にひたることができる。

実際、キャバクラのサービスレベルはそこいらの高級レストランをはるかに超越している。フロアの雰囲気は、どんなに美味しい食事よりも、夢うつつの世界に誘ってくれる。飲食店のサービスが世界トップレベルの日本のなかでも、完璧に近いと思う。キャストだけでなくボーイさんや管理職クラスのスタッフの身のこなしや接客術、客の心を捉える能力も、一流ホテルのスタッフよりも優れていると思う。このあたりの至れり尽くせりっぷりと、家電製品やガラケーの度を越したハイスペックぶりが重なって見えてしまう。

経営面から見ると、キャバクラの経営というのはカフェやレストランよりも数段難しいのではないかと思う。サービスレベルの維持のため、店の規模に対して充分なスタッフを常駐させておく必要がある。特にキャストに払う時給が非常に高くなるので、それらの人件費を回収するだけの売上を毎日あげていかなければならない。キャッチ(路上での声かけ)の規制が厳しくなってきているので、Web上でのプロモーションや、blogやSNSを通じたリピーター客を離さない仕組みづくりもしていかなければならない。かくしてキャバ嬢やホストは日常生活すら来店誘致のツールとして活用させることになる。そしてそれらキャストのメンタルを日々ケアしてあげることも大切な役目だ。これら全てをコントロールする管理職には、相当な実力と継続的な努力が求められると思う。実際に、キャバクラの管理職は、経営哲学のジャンルの著書を読んでいる人が多いように思われる。

これだけ俯瞰してみると、キャバクラにはサービス業の最上級のエッセンスが詰まっているように見える。この完成度の高い産業は、日本が誇るべきものと言ってもいい。それだけに、日本の大きい男の子や女の子は、キャバクラに通えるくらいいつまでも世界で稼ぎ続けてほしいもんだと思う。