息吹き。

うちの会社の新卒学生は優秀である。少なくとも僕の6年前よりもはるかに優秀である。時代が進んだせいもあるだろうし、より就職先を掴むことへのハードルも上がっているのかもしれない。ただ一点、うちのような会社を選んだところがミスだったのかもしれないけど(笑)

彼ら彼女らとあまり直にしゃべることはないけど、彼らは彼らなりにいろいろ考え、ある者は会社を辞めていき、ある者は辞める決心が付けられずにいたりする。どうもうちの会社は外から見えるイメージと、中の人の実態に少なからず乖離があるようで、新卒入社組でそのあたりのギャップに悩む子は多いようだ。僕なんてプライドも無いし割り切って仕事しているから平気のへいざなのだが。

彼らの多くもそうなのだが、今の学生や入社して日が浅い社会人の人たちは、「社会貢献」でメシを食いたい、と望む人がかなり多い。僕らの世代と比べても多いし、僕らの上の世代と比べるとさらに多い。なぜ多いのかと聞かれると自分でもうまく説明できないが、おそらくソーシャルメディアの発達も関係している気がする。いや、本当のところはよくわからない。

というか、僕らより上の世代の一定の割合の人たちは、そんな彼らを理解できていない。理解できていないとどういう考えに至るかと言うと、「あいつは社会のことをなにもわかっていない、甘い」と突き放してしまうことになるのだ。まぁそれは一面では当たってもいるのだが、あえて辛らつな言葉を投げつけるとすると、若者の考えを理解できずそういう論理の帰結に陥るような人は、もはや人生を逃げ切ろうとしか考えていない精神性の貧しい「おっさん」以外のなにものでもない。そしてそういう「おっさん」が作り出すサービスや製品など今後市場で評価されるはずもない、ということだ。そのあたり、エンドの顧客の思考に敏感なBtoCの企業は気付きはじめている。

うちの会社の新卒学生にもそんなタイプの子が多いように思える。かつ能力も高いので、もっと違う環境で働けばぐんぐん伸びていけるのに、と思うことも少なくない。まぁでも、彼らは彼らなりに自分の輝く場所を探していくのだろう。僕なんかより全然優秀なのだから。僕も彼らに離されないように、そして心だけは「おっさん」にならず若い子たちの考えていることを理解できる程度には頭を柔らかく、おっさんである自分を正当化せず生きていけたらと思う。

たわごとだが、最近、5年後10年後がやたら楽しみ。今の若い世代が考えていることは本当に面白い。そこらじゅうで芽生えつつある試みが、いつか社会の閾値を突破する日が来ると思う。願わくばその瞬間に、一緒に楽しめる側の人間でいられたらいいな。