11年目の春。

遅かった桜が咲き始めたね。今週末にかけて暖かくなって、ようやく春本番といったところかな。季節が巡るだけでヒトは気分を上向きにさせられる。自然の力は時に恐ろしいものの、時にこぼれ落ちそうな笑みを連れてきてくれたりもする。

そんな感じで今週からは本格的に仕事も新年度入り。引き続き円安傾向が続いているにもかかわらず、日本経済はあまり元気になれていない。サプライチェーンの鎖が壊れていて、うまく部品が供給されず、せっかくの円安にも輸出できるものがないからというのが理由のひとつ。壊れた鎖はいつか復旧するだろうが、その隙に他国にシェアを奪われないだろうか、日本の製造業は円安を追い風として復活できるだろうか。非常に気をもんでいる。まさに、この1年から2年の動き出しが、向こう10年や20年の日本の運命を左右するはずだと思っている。仕事もようやく震災前以上に活発化してきた。福島や宮城はおろか栃木あたりでも、これまでなかなか売れなかった物件や、埋まらなかった空室が非常によく動きはじめている。仮設住宅の完成を待ちきれない人や、仮設住宅なんてごめんだという人たちが、即金で購入したり、入居していくのだ。ほんと力強いもんだ。東京の人たちも自粛なんて誰の役にも立たないこと言ってないで、再起する彼らを見習うべきだ。新しい社会をグランドデザインするのは、今既に動き出している人たちに他ならない。

★★★

週末、東京に戻ってきてから、香港に異動する大学時代の友人を囲んで、壮行会をした。主役の彼のキャラもあったが、近年まれにみるひどい内容の飲み会で、めちゃくちゃ楽しかった。東京駅で喚きながら高速バスにぶちこまれたやつ、帰りの地下鉄でゲロ吐いたやつ・・。楽しすぎて永遠に時間が続くかと思われたのは久しぶり。震災で少なからず肩も心も凝っていたのが、嘘のように柔らかくなった。いつまでも僕たちは飲むと変わらないけど、その「変わらなさ」が一層失くしちゃいけないものに思えた(というか失くそうと思ってももう失くせない)。

4月は新しいスタートの季節。新しい道を歩む幾人かの友人に刺激を受けて、僕も心新たに、軽やかに歩き出そうと思う。今年、僕を取り巻く環境のなかでなにかが変わるかもしれないし、なにも変わらないかもしれない。けれども、いつでも変われるんだ、という気持ちで引き続き毎日を過ごしていきたいな、と思う。