正しさとは。

1週間が終わった。仕事で頑張るといってもなかなかすぐになにかできるわけでもなく。想像以上に僕の担当先は北関東から東北の方が多く、こちらから連絡を取ることすらまだはばかられる。地震後の航空写真を見ると、担当先の本社事務所や工場が跡形もなく流されているところや水没しているところも。何とも言えない。まだ担当先の方が生きているのかどうかもわからない。

そんな悶々とした状態で、仕事でやれることは少なく、無力感を感じる。

東京もまだ平静さを取り戻せてはいない。計画停電が行われていることもあるが、自粛ムードや「不謹慎」という言葉が飛び交っている。「○○はやめるべき」「いやこういう時こそ○○すべき」「こういう時こそ、その人の資質が問われる」「買いだめは・・」「東京から疎開・・」etc...どれも正しいと思う。どれも正しいことであるがゆえに、それらがところどころで渦を巻いてしまっている。そして、僕も含めてみな、この1週間で精神に大きなダメージを植え付けられている。水曜日あたりから、民放でバラエティー番組が再開して、どれほど心が安らかになったことか。日頃あれだけテレビを見ない自分が、どんなバラエティーであろうがありがたく視聴してしまった。日常会話では、いつも以上にくだらない冗談が増えた。そうでもしないと、精神の平衡を保てないのだ。いつもならば突っかかることのないような小さなことにも口を出してしまう。そんななかで、それぞれが「正しさ」を振りかざしている。どれも全部ごもっとも。批判をすべきではない(自分も含めて)。例えば東京を疎開することも(自分自身の状況が許せば)今は有効な手段のひとつだと思う。誰もそれを避難できる立場にないし、疎開する人が負い目を感じる必要もないと思う。義捐金を送ることが送らない、送ることができない人と比べて偉いわけでもない。一事が万事、そう言えると思う。

人それぞれ、立場は違う。主張は大いにすればいい。ただ、むやみに人の批判はすべきではない。今はまだその時期ではない。僕もこの1週間は冷静でなく、人につっかかってしまうこともあった。自分自身まだまだ精神が未熟だと感じる。しかし、僕の精神は今目の前に流れていることを咀嚼するだけで精一杯、というのが正直なところだ。