10年目の朝。

気づいたら6月が終わっていた。そして、僕はいまの会社で過ごす、10年目の時を迎えることになった。正直言って、ここまで長くこの会社にいることを、9年前の自分は全く想像できなかった。

新卒で入社した時よりも、中途入社の朝のほうがはるかに緊張していた。ほとんど一睡もできず入社日の朝を迎えた。これからまた別のキャリアを選ぶことになっても、たぶんあの日以上に緊張することはもうないのだろう。

あの頃おぼろげに抱いた将来の夢は、形こそ大きく変えたものの、少しずつゴールが見出せそうになっている。自分がスキルを身につけさえすれば、夢はどうあれ実現に近づくということを、今の自分はもうよく理解している。

足もとを見れば、腐りそうになることもあるけれど、そんな時は、原点に立ち返って、大きな目で、長い時間の捉え方で、自分を見つめ直して、地道に歩いていくしかないのだと思う。

そうして、泥臭く、目の前のことを追いかけ続けることを、また10年目も繰り返していく。遠回りに見えても、ひたすら愚直に。