旅の寝床②。

旅行記のとあるページに、「とにかく、非生産的なことがしたかった」というくだりを見つけた。そこから十数年が経って、「生産性」という言葉がいよいよ以前に比べても日本でもよく使われるようになっている。非生産的な生き方をするには、その分限られた残りの時間で生産的に行きなければならない、という自分でもなにを言っているのかわからないような事態が世の中に浸透しているような気もする。のんびりとしたことを言っていては生きていけない世の中になってきたし、自分自身も、自らにも周りにも生産性を求めるようになってしまったなあ、という反省はある。

 

若い頃から老後に向けての備えをしておかねばならない、だとか、倹約をして生活をしなければならない、といったような言い方が社会にあふれている。欧米の物価が驚くほどに高くなってしまっていることもよく聞かれる。豊かだけれどもあえて貧乏旅行をする、ということと、貧乏旅行しか選択の余地がない、ということには大きな違いがある。そして、かつての日本人がそうであったように、今度は世界中から、安くなった日本を堪能しに人がやってきている。海外からどう稼ぐか、ということをいろんな人が真剣に考えはじめている。(明日に続く)