片腹痛い。

予定の一本前の電車になんとか飛び乗ろうと思い、夜道を駆けた。ホームに降りたと同時にホームドアが無情にも閉まっていった。まったく、40歳を手前にしてなにをやっているんだろうか。そうしてジャケットを脱いでベンチに腰掛けると、途端に胃のあたりがキリキリと痛み出した。


どうやったら年相応に落ち着いた人間になるだろうか。なにかを追いかけなくとも気が済むような人間になるだろうか。立場の問題ではなく、精神の問題なのだろう。一生治らないのかもしれない。


自分自身、ほかの人と比べても、これだけは譲れない、我慢できない、というラインが緩いように思う。それは良いこととはいえなくて、我慢できないことが人よりも多ければ、我慢でしないことを回避するために工夫をするようになるということである。許容範囲が広い分、頭を使わずその度に力業で乗り切ってきたような気がする。そして、体力の面でも、社会環境の面でも、力業でなんとかなる部分は年々少なくなってきていると感じる。


いい加減にやり方を変えなければならない。脂汗をかいたまま、次の電車があっという間に滑り込んでくる。